
VISI-ONE Innovation Hubは8月9日、東京都内にて「視覚障がい者の働く力セミナー:第2回:「伝わる履歴書」作成セミナー」を開催しました。講師は、障がいのある方への就労支援のご経験を持つ、株式会社ビズリーチの伊藤友紀氏を迎え、会場・オンラインに9名の参加者が集まりました。
視覚障がい当事者のキャリア形成をテーマにした4月開催のセミナーでは、講師から企業から雇用されるにあたって、「自分の取扱説明書」が重要である、という話がありましたが、今回はその「取扱説明書」をどのように履歴書で表現すべきであるか、という点を、企業で障がい者雇用を担当している方にお話しいただきました。
第1回のセミナーの様子は下記をご覧ください。
「視覚障がい者の働く力セミナー」第1回に12名が参加 人事のプロ金子氏から学ぶキャリア形成の考え方
30代~60代と幅広い年代、職種も様々な方々から、具体的な履歴書や職務経歴書の書き方への問いや、障がい者雇用そのものに対する意見や質問が活発にされるなど、非常に熱のこもった機会となりました。
応募書類は「会ってみたい」と思ってもらうための最初のツール
セミナーの前半は、伊藤氏より、応募書類の役割から始まり、履歴書を書くうえでの基本的なポイントや志望動機で伝えるべきことといった、一般的にも重要な点とともに、障がいに関連してどのようなことを伝えるべきか、どのように記載をするべきかをお話しいただきました。
「応募書類は、採用担当者に「この人に会ってみたい」と思ってもらうための最初のツール」と語る伊藤氏からは、採用担当者が見るポイントとして以下の3つが挙げられました。
〇経歴・経験・スキル
〇意欲・人柄
〇障がいの詳細・自己理解・配慮事項
具体的な履歴書の中身に話が移ったところで、志望動機をどうまとめるか、が話題となりました。求人票だけでは応募先の情報も限られる中、どのようにまとめるかは多くの方が悩まれるポイントです。まずは自身がどういう背景で就職活動をしているのか、その中で何かがマッチして応募するに至っているはずなので、その背景やマッチしたポイントをまとめることが重要で、仕事内容が自分に合う、こういうビジョンの会社で働きたい、この事業をしている会社で働きたい、社員インタビューを読んで、自分の志向と合っていると感じた、自分が必要とする障がいに対する配慮が叶うと思った、など、自身のなかでマッチした点を説明することの重要性が伝えられました。
働いている姿を採用側がイメージできることが大事
レクチャーの後半はメイントピックである障がいについてです。障がいに関する情報はすべて任意事項であり、自身が応募するにあたって開示して差し支えない範囲で記載すればよい、という前提のもと、重要なポイントは、履歴書を見た担当者が、少しでも自社で働いてもらうイメージができること、応募者本人からすると、「こんなことまで」、と思うようなことまで書いた方が、企業としては理解がしやすいことがあります。一方で、「どこまで応募書類に落とし込むのかも難しいポイント」と伊藤氏は話します。応募者にとって本当にここだけは、という重要な点を書類に記載し、少し細かいことは面接に進んだ際に伝える、でもよく、企業に理解してもらいたい点をしっかり落とし込むことが重要だと伝えられました。
講義後、参加者からは履歴書のフォーマットや志望動機の書き方についてなどの具体的な質問だけではなく、障がい者採用への応募とオープンポジションへの応募ではどちら良いのか、転職エージェントの活用方法など就職活動に関する問いなど、活発な質問や議論が交わされました。また会場参加者には、全体のレクチャー終了後、講師の伊藤氏との個別面談も実施され、事前に提出していた履歴書へのアドバイスや、転職活動の考え方などについてなど、より具体的なポイントの話がされました。
セミナーを終え、参加者からは、
「セミナーの内容も勉強になり、また活発な質疑応答でより理解が深まった。」
「自分の強みのヒントを得ることができた」
「視覚障がい者であることを履歴書で伝えることが可能であると理解できた」
といった声が寄せられました。
VISI-ONE Innovation Hubでは、視覚障がい者の方を対象として、「働くこと」に焦点を当てたワークショップやセミナーを継続的に開催しています。視覚に課題を抱える人がより力を発揮し、「社会を誰もが活躍する舞台」になることを目指し、活動してまいります。